1.はじめに
独立して法人の設立を考えているという方、あるいは今まで個人事業主としてやってきたが法人成りをそろそろ検討しているという方など、会社設立の理由はさまざまあると思います。
会社と言えば「株式会社」と言われるほど株式会社は一番メジャーな法人形態で、ほとんどと言ってもいいくらいに世の中にある会社は「株式会社」です。
実際、国内の法人の90%以上が株式会社なのです。
そんな中でも「合同会社○○○○」という会社を見かけることがあります。
「合同会社」とは、いったいどういうものなんでしょうか?
そもそも「会社法」という法律の中で会社のことがさまざまと決められています。
会社は、大きく分けると「株式会社」と「持分会社」に分類され、さらにその持分会社は、「合名会社」、「合資会社」、「合同会社」の3種類に分類されています。
今回は、その持分会社の3種類の中でも一番選ばれることが多い「合同会社」について「株式会社」と比較しながら見ていきたいと思います。
2.合同会社の特徴
合同会社は、有限責任社員のみで構成されています。
有限責任とは、会社の債務については一定限度までしか弁済義務を負わなくていいという意味です。
一定限度とは、自身が出資した金額を限度として責任を負えばよいということです。
たとえ会社がそれ以上の債務を抱えていたとしても自身の出資額以上の弁済をする必要はありません。
この有限責任という部分は合同会社の特徴の一つですが、株式会社も同様に有限責任を負う株主によって構成されています。
それでは、逆に合同会社と株式会社の違いはどういったところなんでしょうか?
違いはたくさんありますが、一番大きな違いは、なんと言っても資本と経営の分離がされているのかどうかという点になります。
要するにお金を出す人と業務を執行する人が同じなのかそれとも違うのかということです。
株式会社では、資本と経営が分離されているという特色があります。
これに対して合同会社は、資本と経営が分離されておらず、”お金を出す者=業務執行をする者” ということになります。
また、株式会社は会社法等によって細かく規律されていますが、合同会社は基本的に定款自治が広く認められており、比較的自由に会社の設計ができます。
そのため会社の運営や管理の仕組みはできるだけ自分で決めたいという人にとっては都合がよい形態だといえます。
3.合同会社のメリット、デメリット
①メリット
・会社設計の自由度が高い
先ほども書きましたが、定款自治が広く認められており、個々のニーズに合わせて様々なことを決めることができますが、その分定款の作成が大変になってしまうという側面もあります。
・設立時の費用負担が少なくてすむ
株式会社と比較して合同会社の設立費用は少なくてすみます。
なぜなら、定款の認証が不要のため認証費用(3万円~5万円)がかからないうえに、多くの場合は登録免許税が少なくてすみます。
(設立にかかる登録免許税の最低額が、株式会社の場合は15万円ですが、合同会社の場合は6万円ですみます)
・設立手続きやその後の会社運営が簡単
株式会社の場合とは違い、合同会社は、定款の公証役場での認証が不要となっているため設立時の手続きが簡単になっています。
また、毎年の決算公告の義務や社員の任期の定めがないため、設立後の運営も株式会社に比べると負担が少なくて済みます。
②デメリット
・資本と経営が一体
先ほども書きましたが、合同会社の場合は、基本的に ”お金を出す者=業務執行をする者” となるため、株式会社のように広く株主から資金を集めるということができません。
そのため資金調達が限定され、将来的に資金を調達して事業を拡大していこうという考えがある場合はあまり向いていないと言えます。
・株式上場することができない
当然ですが、株式会社ではないので上場することはできません。
将来的に株式上場を行なって資金を調達する計画がある場合は、合同会社ではなくて株式会社を選ばれたほうがよいと思います。
・社会的な認知度が低い
株式会社に比べると社会的な認知度が圧倒的に低く、本来は決してそうではないのですが、信用性も低く見られがちではあります。
4.まとめ
いかがだったでしょうか。
合同会社のことをほんの少しはわかっていただけたのではないでしょうか。
合同会社には株式会社には無い良い面があります。
もちろん株式会社のほうが優れている面もあります。
ご自身の設立される会社をどのように運営したいのかや将来的にどうしていきたいか、設立にあたっての資金は? パートナーは? 業態は? など さまざまな条件を考慮してどの法人形態を選択するのがベストなのかを検討していく必要があります。
設立時にこういったことをしっかりと考えて行なうことで、将来的に無駄な出費や余計な手間を省くことができます。
ただ、法人の形態をどうするかや定款の内容をどうするのかなどご自身で判断していくのは容易なことではありません。
ぜひ我々のような専門家にご相談ください。
しっかりとヒアリングをさせていただいたうえでご提案いたします。
法人設立をご検討のみなさま、お気軽にご相談ください。
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