遺留分って? ~その2

1.はじめに

前回の ”その1” では、遺留分とはどうゆうものなのかということ、それから遺留分という権利を持っているのは誰なのかということをご説明してきました。

簡単に振り返ってみますと、「遺留分」とは一定の相続人が最低限保証された遺産を受け取る権利であり、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められています。
注意しなければならないのは、請求する場合は必ずその旨の意思表示が必要で、何もしないままでいると時効でその権利は消えてしまいます。
それから、遺留分が認められる人に関しては、法定相続人の内容と混同しやすいので注意が必要であるということなどをお話ししました。

今回はその続きで、遺留分の額の割合やその他の注意が必要なことなどをご説明します。
ぜひ最後までご覧ください。

2.遺留分の価額の計算方法

実際に遺留分で請求することができる額というのはどうなっているのかを見ていきましょう。

遺留分の割合を決定するためには、まず相続財産全体に占める遺留分権利者全体に留保される割合である【総体的遺留分】と言われるものの割合を出します。

・総体的遺留分
 直系尊属のみが相続人になる場合 : 1/3
 それ以外の場合 : 1/2

次に遺留分権利者個々人に留保された相続財産上の持分的割合である【個別的遺留分】を出すのですが、これはいわゆる法定相続分になります。

この【総体的遺留分】と【個別的遺留分】がわかることで、以下のような計算式で各人の遺留分の額を計算することができます。

各遺留分権利者の遺留分」=(遺留分を算定するための財産の価額)×【総体的遺留分】×【個別的遺留分】

3.遺留分を算定するための財産

次に、先ほどの計算式で出てきた (遺留分を算定するための財産の価額) について簡単にお話しします。

遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時に有していた財産の価額に贈与した財産を加え、その額から債務の全額を控除した額とするとされています。

計算式にしますと、

「遺留分を算定するための財産の価額」=(被相続人が相続開始の時に有していた財産の価額)+(贈与した財産の価額)-(債務の全額)

となります。

4.贈与した財産の価額とは?

それでは (贈与した財産の価額) とはどういうものが該当するのでしょうか?

ここで言う贈与には、「相続人に対する贈与」と「相続人以外の者に対する贈与」とに分けて考えます。

・「相続人に対する贈与」
相続の開始前の10年の間にしたものを (贈与した財産) に加えます。
ただ、遺留分権利者に損害を与えることを知って贈与をしたときは、10年以上前にしたものについてもその価額に加えられます。

・「相続人以外の者に対する贈与」
相続の開始前の1年の間にしたものを (贈与した財産) に加えます。
ただ、こちらの場合も上記と同じように、遺留分権利者に損害を与えることを知って贈与をしたときは、1年以上前にしたものについてもその価額に加えられます。

5.遺留分侵害額の算定方法

それでは、実際の遺留分を侵害されたとして請求できる金額はいくらになるのでしょうか?
その計算方法は、

「遺留分侵害額」=「自身の遺留分の額(2.で計算した各遺留分権利者の遺留分の額)」-「自身の特別受益額」ー「自身が相続で得た財産の額」+「相続債務の負担額」

6.遺留分侵害額請求をするには?

実際に遺留分が侵害されているときにその分を請求したいという場合にはアクションを起こさなければならないと前回お話ししました。(前回の記事は ”こちら” をご覧ください。)
それではそのアクションとは何かを最後に簡単にお話しします。

遺留分侵害額請求は一般的には次のような流れで行ないます。

内容証明郵便などの送付
まずは「私は侵害されている遺留分の請求をします。」という意思表示を遺贈や生前贈与を受けた人に対して行ないます。
後々のことも考えるとできる限り内容証明郵便で送っておくことをお勧めします。

郵便が相手方に届き、その相手方から反応があると当事者間で話し合いを行なうことになります。
その話し合いで決着がつかなければ次のステップである調停、訴訟へと進んでしまいます。

7.まとめ

いかがだったでしょうか。
できれば遺留分侵害額請求という問題が出てくるような相続は避けたいところです。
まさに遺言書をこれから書こうと考えているようなら、遺留分に配慮して作成されることをおすすめしたいです。

ただ、実際に遺留分の問題に出くわしてしまうということも少なからずあると思います。
その際は、最低限ここでお話しした内容を知っていることで次の対応を取ることができると思います。
しかしながら、遺留分の話は非常に複雑でわかりにくい内容になっています。
その時々の状況に応じて専門家に相談することも検討してみてください。

相続手続きや遺言書の作成のことならお気軽にご相談ください。
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