1.はじめに
そもそも産業廃棄物は、排出事業者が自らの責任で適正に処理しなければならないとされています。
これを「排出事業者責任」と言ったりします。
ただ、この「自らの責任で適正に処理する」と言っても、①実際に自ら処理をする場合と、②処理業者に処理を委託する場合、があります。
廃棄物処理法では、①の「自ら処理する場合」のケース(=自社運搬)は、収集運搬業許可は不要ですが、②のケースの場合で、下請けとして収集・運搬を行なう事業者は許可が必要になります。
許可を持っていない業者が産業廃棄物の収集運搬をすると廃棄物処理法違反となるのですが、これは処理をした業者だけではなく、ゴミを出した事業者も重い罪に問われてしまうことになります。
必要に応じてきちんと許可を取得して、産業廃棄物の収集運搬の仕事を請負うようにしないといけないのですが、許可取得のための要件はどのようになっているのでしょうか。
産廃業許可を取得するために必要な要件について見ていくことにしましょう。
2.許可取得のための要件
①「申請者の能力に関する基準」
「申請者の能力に関する基準」として、以下の二つの基準が設けられています。(廃棄物処理法施行規則 第十条の二)
イ.産業廃棄物の収集又は運搬を的確に行うに足りる知識及び技能を有すること。
ロ.産業廃棄物の収集又は運搬を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有すること。
順番に詳しくご説明していきます。
まず、イに関してです。
実際に営もうとする事業の種類に応じた講習会を、個人の場合は申請者本人か政令使用人、法人の場合は代表者や役員か政令使用人が受講し、修了する必要があります。
申請の際には、その講習を受講して修了するともらえる「修了証」を添付しなければなりません。
講習会は予約制になっていて、定員がすでにオーバーしているというようなことも結構あるので早めに予約して受講しておくことをお勧めします。
講習会は、「公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター」のほうで行なっています。詳しくはこちらをご覧ください。
次に、ロに関してです。
これについては、法人税といった税金の納税状況が悪かったり、財務状況が債務超過に陥っているというような場合には、事業を継続して営業していくことができないと判断される可能性があります。
この場合は、追加書類を提出して継続して営業することができるということを示すことができれば要件をクリアできる可能性があります。
場合によっては、公認会計士や税理士の先生にその追加書類(「経理的基礎を有することの説明書」)を作成してもらわなければならないこともあります。
また、この他に申請者や法人の役員、政令使用人などが欠格要件に該当しないことが必要です。
3.まとめ(その1)
今回は、「申請者の能力に関する基準」を見てきました。
次回は、今回の続きで「施設に関する基準」についてを「その2」のほうで見ていくことにします。
産廃業の許可取得の申請は、多くの要件をクリアしなければならず、それを証明するための添付書類もたくさん必要になってきます。
また、申請しようとする都道府県によって添付書類や申請書の書き方が違うということも結構あります。
ご自身で申請するとなると申請の手引きを確認して必要書類を集め、申請書を作成していくのに多くの時間を費やさなければなりません。
産廃業の許可取得は、許認可の専門家である我々行政書士に任せてしまうというのも一つの選択肢です。
産廃業の許可のことなら、お気軽にご相談ください。
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