1.はじめに
前回は、産廃業の許可取得の要件のうち「申請者の能力に関する基準」についてを見てきました。(前回の記事はこちら)
「申請者の能力に関する基準」には、「知識や技能に関すること」や「経理的な基礎を有すること」といった要件があることをご説明しました。
産廃業の許可を取得するには他にもクリアしなければならない大切な要件があります。
今回は、そのうちの一つである「施設に係る基準」という要件をご説明していきます。
これについてはかなり細かい部分までさまざまな決まりがあり、要件を正しく理解して申請しておかないと大きな失敗をしてしまい、後々後悔をするということもあり得ます。
そうならないためにもしっかりと要件を確認してから申請しなければなりません。
それではさっそく見ていきましょう。
2.許可取得のための要件
②「施設に係る基準」
「施設に係る基準」として、以下の二つの基準が設けられています。(廃棄物処理法施行規則 第十条の一)
イ.産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬船、運搬容器その他の運搬施設を有すること。
ロ.積替施設を有する場合には、産業廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに悪臭が発散しないように必要な措置を講じた施設であること。
ここでは特にイの事業に使用する運搬車両や運搬容器についてを中心にご説明していきます。
(1)運搬車両について
車両に関しては、産業廃棄物の種類に応じて、飛散したり流れ出したりしないように、収集・運搬するのに適したものでなければなりません。
例えば、車検証の備考欄に、「土砂等禁止車」と記載がある場合は、「汚泥」「ガラスくずコンクリートくず及び陶磁器くず」「がれき類」「鉱さい」は、運搬することができません。
他にも液状のものを運ぶ場合には、こぼれないように容器が必要になることもあります。
申請する際には、以下の点に注意して申請するようにしてください。
・車両の使用者が申請者と一致しているかどうか(使用者が空欄の場合には、所有者と申請者が一致しているかどうか)
・使用する予定のすべての車両を登録しているかどうか(車両ごとに登録が必要なため)
・都道府県によっては、ディーゼル車規制が行われているので、登録しようとしている車両が規制をクリアしているかどうか
もし規制対象となると使用することができませんが、指定された粒子状物質減少装置を装着すれば使用することができるようになります。
また、運搬車両の外側には産業廃棄物の収集・運搬に使用する車両であることなどを見やすいように表示し、かつ定められた書面を備付けておかなければなりません。
(2)運搬容器
運搬容器は、産業廃棄物が飛散や流出したりしないようなもの、あるいは悪臭が外に漏れ出ることがないものでなければなりません。
容器として代表的なものは、鉄製やプラスチック製のドラム缶、フレコンバックやコンテナなど、さまざまなものがあります。
これも車両と同様に、飛散したり流出したりすることがないように取り扱う品目やその性質に応じたものを選定する必要があります。
3.まとめ
前回の ”その1” とあわせて2回にわたり産業廃棄物の許可要件について見てきましたが、いかがだったでしょうか。
産業廃棄物は、その処理が適切に行われないと人々の生活環境に多大な悪影響を及ぼしてしまいます。
そのため、廃棄物処理法は、廃棄物の排出抑制や発生した廃棄物のリサイクルなどを適正に行うことで人々の生活環境を守ることを目的に制定されました。
ご説明してきたさまざまな許可要件もそのような目的を達成するために設けられたものなのです。
ただ、それらの要件をクリアしていることを証明するための申請書類や添付書類は多岐にわたります。
さらに、申請する先によっても添付書類が違っていたり、書き方が違うなどということも結構あります。
ご自身で申請することはもちろんできますが、手引きなどを確認することから始めるとなると容易なことではありません。
許可申請は、その道の専門家である我々行政書士に任せてしまいませんか。
結果的に時間もお金も節約になると思います。
産廃業の許可のことなら、お気軽にご相談ください。
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