1.はじめに
前回は、「遺言書を作成しておいたほうがいいケース ~その1」として、①から⑤までをご説明してきました。
今回は、前回の続きをケースごとに順番にご説明していきます。
どれも身近な問題としてイメージしやすい事例だと思います。
それでは始めましょう。
2-2.遺言書を作成しておいたほうが良いケース
⑥前婚時の子や愛人との子がいるような場合
離婚していても前妻との間に子供がいれば、その子供には当然ながら相続権があります。
その場合、前妻との間の子供と、現在の配偶者との子供という普段あまり顔を合わせることのない者同士で遺産分割協議をすることとなります。
そのような場合、相続人が受ける精神的な負担が大きくなってしまったり、さらには相続人の間で争いに発展してしまう可能性もぐっと高まります。
極端な例ですが、遺留分を侵害するような「現在の配偶者とその間の子に全部相続させる」というような内容の遺言書であったとしても、その通りの内容で一旦は相続を終わらせることができます。
そのあともし遺留分侵害額請求がされたというような場合は、遺留分を金銭で解決していくことになります。
ただし、あまり遺留分を侵害するような遺言書はお勧めできません。
⑦ご自身が個人事業主(自営業)である
ご自身が自営業を営んでいる場合も遺言書を遺しておかれたほうがいいケースといえます。
なぜなら、事業用の資産が複数の相続人に分散してしまうと、その後の事業の継続が困難となってしまうことが多々あります。
自身の事業を特定の相続人に承継させたい場合は、その旨をきちんと遺言書に書いておくことで上記のようなことを防止できます。
ただし、事業用の資産は資産価値が大きい場合が多いので、遺留分には十分注意が必要になります。
⑧相続人どうしの仲が良くない
この場合は当然ですが、遺産分割協議がスムーズに完了する可能性はきわめて低いです。
仲が良くない相続人がそもそも集まって協議をするということ自体がかなりの負担を相続人に与えてしまいます。
このケースでは、協議がまとまらない可能性も高く、そうなってしまうと家庭裁判所に調停の申立てを行なうようになります。
調停でもまとまらなければ審判手続きに進んでいくことになります。
そのようなことにならないためにもぜひとも遺言書を作成しておきたいものです。
⑨財産の種類や金額、相続人の人数が多い
例えば、法定相続分で分割するということで協議がまとまっても、誰が何を取得するのかはなかなかまとまらない場合が多いものです。
また、ようやく協議がまとまったとしてもその後の手続き(不動産の名義変更や金融機関での解約の手続きなど)には原則的に相続人全員の関与が必要になります。
相続人の数が多い場合は、一つの手続きをするのにも大変です。
そのようなケースの場合、遺言書に遺言執行者を指定しておけば相続人を代表してその者一人で相続手続きを進めることができます。
⑩推定相続人の中に行方不明者がいる場合
遺産分割の手続きは、原則として相続人全員の参加が必要になります。
しかし、行方不明者などが相続人の中にいると遺産分割の手続きを行なうことができなくなります。
もちろんそのような場合でも方法はあるのですが、非常に面倒で時間もかかってしまいます。
そこで遺言書を作成しておくことで遺産分割協議を経ることなく相続手続きを進めていくことができます。
3.まとめ
いかがだったでしょうか。
これまで ”その1” ”その2” と2回にわたって 「遺言書を作成しておいたほうがいいケース」 という内容でご説明してきました。
ここには書ききれなかったのですが、他にも遺言書を書いておいたほうがいいケースはあります。
前回も申しましたが、遺言書を準備していなかったために相続人にさまざまな負担をかけてしまうということが起こります。
遺言書を作成するというとなかなか手をつけられないという方が多いと思いますが、ぜひ大切な家族のためにも準備しておいてあげて下さい。
自筆証書遺言と言われる方式ならご自身で作成しておくこともできます。(自筆証書遺言については こちら をご覧ください。)
また、公正証書遺言方式できちんと遺言書を作成しておくというのも少し手続きは煩雑にはなりますが、おすすめの方法です。(公正証書遺言については こちら をご覧ください。)
ただ、「自分で作成するのはちょっと」 という場合は、我々のような専門家にご相談ください。
しっかりとお話をお聞きした上で最適なサポートをいたします。
遺言書作成のことならお気軽にご相談ください。
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