1.はじめに
建設業の許可を取得するときにしばしば「営業所」というワードが出てきます。
なんでもかんでも営業所に該当するわけではないということは分かってはいるが、では一体どういうものが営業所にあたるのかあらためて聞かれるときちんと答えられない方が多いのではないでしょうか。
建設業法で言うところの営業所とはどういうものなのか、ここで少し詳しくみていきましょう。
2.法令上の規定
少し堅苦しい話になってしまいますが、法令上ではどのように書かれているのかまずは見ていきましょう。
まずは建設業法には、営業所とは 「本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。」と記載があります。(第3条)
それでは、「政令(=施行令)で定めるこれに準ずるもの」とはどういうものなのでしょうか。
建設業法施行令の第一条には以下のように書いてあります。
(支店に準ずる営業所)
第一条 建設業法第三条第一項の政令で定める支店に準ずる営業所は、常時建設工事の請負契約を締結する事務所とする。
さらには、建設業許可の可否を判断するための基準となる「建設業許可事務ガイドライン」というものがあります。
その中に営業所についての記載があります。
ついでにそのガイドラインのほうも見ておきましょう。
・営業所の範囲について
「営業所」とは、本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいう。
したがって、本店又は支店は常時建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行なう等、建設業に係る営業に実質的に関与するものである場合には、当然営業所に該当する。
また「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等、請負契約の締結に係る実体的な行為を行なう事務所をいい、契約書の名義人が当該事務所を代表する者であるか否かを問わない。
3.建設業法でいう営業所とは?
法令等で営業所とはどういう風に規定されているのかをまずは見てきましたが、結局のところどういうものなのかというのをまとめてみます。
まずは、請負契約の見積書の発行や入札、請負契約の締結などの建設工事に関する業務を行なっていれば、営業所に該当します。
また、その営業所自体が請負契約の締結業務などを行なわなくても、他の営業所に対して指導監督を行っているというような場合は営業所に該当します。
したがって、現場の作業所や工事事務所、建設業に無関係な他の事業の営業を行なっている支店や単なる登記上の本店などは営業所ではないということになります。
このあたりの考え方に沿って、建設業を取得する場合にどの支店を建設業法上の営業所として申請しなければならないのかを判断していただければよいかと思います。
4.営業所に該当した場合に必要なことは?
それでは、建設業法上の営業所として申請する場合には何が必要になってくるのでしょうか。
まず営業所には、「主たる営業所」と「従たる営業所」の2種類があります。
営業所が一つしかない事業者の場合は、その営業所が「主たる営業所」になります。
イメージ的には、[主たる営業所=本店]、[従たる営業所=各支店] という感じになります。(先ほど言いましたように単なる登記上の本店というような場合はそうでないこともあります)
主たる営業所には、経営業務の管理責任者の配置と、その営業所で営業する業種で求められる専任技術者を一人以上配置しなければなりません。
従たる営業所には、政令で定める使用人と、その営業所で営業する業種で求められる専任技術者を一人以上配置しなければなりません。
(経営業務の管理責任者についてはこちらを、専任技術者についてはこちらをご覧ください)
これらの経営業務の管理責任者、専任技術者、政令で定める使用人は全て常勤でなければなりません。
補足ですが、先ほど出てきた政令で定める使用人について少しご説明します。
政令とは、この場合建設業法施行令というものになるのですが、その中の第3条に記載があります。
簡単に言うと支店長や営業所長などがそれに該当します。
また、この政令で定める使用人のことを施行令の第3条に記載されていることから、「令3条使用人」と言ったりします。
営業所を設置する場合の物的要件も申請の手引きなどに記載されていますので、それもしっかりと把握したうえで事務所の準備をしていくようにして下さい。
(例:事務所の独立性を保つためにスペースが明確に区分されていることや電話、コピー機、パソコンなどの事務機器の設置、外部から判断が可能であることなど・・・。)
5.まとめ
建設業の許可を取得するためには営業所が必ず必要になってきます。
その営業所を設置するにはさまざまな決まりがあることがお分かりいただけたと思います。
また、そもそも営業所とはどういうものなのかもイメージしていただけたのではないでしょうか。
これから建設業の許可を取得しようと考えている方、あるいは支店を増やそうかと検討中だという方などの参考になれば幸いです。
建設業の許可を取得するには、今回説明した「営業所」だけでなくさまざまな要件をクリアして申請しなければなりません。
許可申請をするときや許可取得後、日々の業務を行なっていくときなどに、こういった場合はどうすればいいのかよくわからないといったことが起こると思います。
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