建設業の許可の要件に「誠実性」とか「財産的基礎、金銭的信用」があることといったようなことが書かれています。
具体的にはどういうことなのでしょうか。
1.誠実性について
法人であればその役員や政令で定める使用人、個人であればその者などが、請負契約に関して「不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者」ではないことが必要とされています。
ここで、不正な行為とは請負契約に際して詐欺・脅迫・横領などの法律に違反する行為をいい、不誠実な行為とは、工事の内容や工期などについて契約に反する行為をいいます。
つまり、こういった行為をするおそれがある者には、建設業の許可は与えてはいけないということになっています。
一般的に建設工事というものは、高額になることが多く、工事期間も長期に及びます。
上記なような者が、許可を取得して工事を請負ってしまうと注文者に多大な損害を与えることになり、社会的損失も大きなものとなります。
そういったことを防止するためにこのような要件が定められています。
例えば、建築士法や宅建業法などで「不正」や「不誠実な行為」を行なったことで免許等の取り消し処分を受け、その処分の日から5年が経過していない場合なども許可を受けることができないのです。
もちろん建設業の許可を取るからということではなく、上記のような不正とか不誠実な行為ということはしないように気をつけないといけないですね。
2.財産的基礎又は金銭的信用について
請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないことが必要とされています。
一般建設業の場合と特定建設業の場合でその要件が異なっており、特定建設業のほうが厳しく定められています。
「一般建設業」と「特定建設業」の違いはこちらをご覧ください。
・一般建設業の場合
具体的には以下のような条件のいずれかに該当する場合は、原則としてこの基準に適合しているとして取り扱われることになります。
①直前の決算において自己資本の額が500万円以上である
②500万円以上の資金調達能力がある
③直前5年間許可を受けて継続して営業した実績がある
少し補足しますと、自己資本の額とは、直近の貸借対照表の純資産総額のことをいいます。
また、資金調達能力があるというのは、例えば金融機関が発行した残高証明書などで証明していくことになります。
・特定建設業の場合
「財産的基礎」について、直前の決算において次の①~③の要件のすべてを満たさなければならないとされています。
①欠損の額が資本金の20%を超えていない
②流動比率が75%以上である
③資本金が2000万円以上であり、かつ自己資本が4000万円以上である
ここも少しだけ補足しますと、①は、貸借対照表の繰越利益剰余金がマイナスのときに、その額が資本金の20%以内でなければなりません。
また、②は、貸借対照表の流動資産を流動負債で割った比率が75%以上でなければならないのです。
このように、誠実で不正を行うような人ではなく、更に財産的基盤がしっかりしている者にしか建設業許可は与えてはならないということになっています。
また、許可の要件だけではなく、欠格要件なるものもあります。
これは、定められた要件に該当する者は、許可を受けることができないというようなことが決められています。
上記の他にもさまざまと定められている許可要件ですが、これらすべてに該当しており、さらに欠格要件には該当していないということを判断し、書類を正しく揃えて申請するのは かなり大変なことだと思います。
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